# 今年読んでおもしろかった本 2022 気になった本があったら、年末年始に読んでみてくださいね。 ## 資本主義と向き合うための本 今年は暴走する資本主義と戦ってました。 でも、資本主義のフレームから外れることはできず。 右手で握手しつつ、左手で殴り合ってる感じ。 ### 『世界は贈与でできている』(近内悠太) [世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 (NewsPicksパブリッシング)](https://amzn.to/3grWlbP) 資本主義の「すきま」を埋めていくとはどういうことか。 頭から順番に読んでいくとロジックを理解できます。 ### 『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』(熊代亨) [健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて](https://amzn.to/3TGxbbz) 自由に生きているつもりでも、いかに固定されたフレームの中での自由なのか思い知らされます。 フレームの内側で生活しながら、フレームの外側を意識して、ディスカッションを重ねてフレームを修正していく。 ハードルの高い生き方を要求される社会になりましたね。 ### 『人新世の「資本論」』(斎藤幸平) [人新世の「資本論」 (集英社新書)](https://amzn.to/38xT1M0) 暴走する資本主義にうんざりしている人が増えてるのでしょうか。ベストセラーになりましたね。 ただ、著者のこじつけと暴論が入り混じってる気がしなくはない。 ### 『「その日暮らし」の人類学』(小川さやか) [「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ (光文社新書)](https://amzn.to/3DI8N3z) ライトな内容かと思ったら、ガチ研究者が書いた本でした。 「Living for Today」を生きる人々のお話。 ## ワナ・ビー・ア・ハッカー ハッカーになって世界をひっくり返したい。 そんなことを考えるようになりました。 ### 『スペクテイター〈50号〉 まんがで学ぶ メディアの歴史』 [スペクテイター〈50号〉](https://amzn.to/3YPnNW4) ヒッピーとかカウンターカルチャーとか『ホール・アース・カタログ』とか。 当時のある種の熱狂を思うと胸が熱くなります。 ### 『ハクティビズムとは何か』(塚越健司) [ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動 (SB新書)](https://amzn.to/3Vtwu6m) ハッカーによるアクティビズムについて。 ハクティビズムの分類や、具体例としてウィキリークスやアノニマスの解説など。 ## IT 関連の本 技術の専門書は外しました。 ### 『人工知能は人間を超えるか』(松尾豊) [人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)](https://amzn.to/3SFmq8I) 7 年前の出版時に買って放置してました。 歴史を振り返る本なので、出版は古いですが今でも読む価値があります。 ### 『Obsidianでつなげる情報管理術』(Pouhon) [Obsidianでつなげる情報管理術](https://amzn.to/3Rs9C4c) いつもおすすめしている Obsidian のプラグインをフル活用。 単に Obsidian の使い方を記した本ではなくて、メモから創造へとつながる情報管理術を解説する本です。 ## 小説 ### 『インディゴ』(クレメンス・J・ゼッツ) [インディゴ](https://amzn.to/3frNIRj) やべえ本を読んでしまった。 帯の紹介文からしてやべえ。 「無傷ではこの本から離れられない」 「これは人が読んでよい類いの書物であるのか」 「私はなにを読んでいるのか?」 何が事実で事実でないのかググりながら読むのが前提の本。 (日本語版は注釈がついてて手間が少ないです) ### 『四畳半神話体系』(森見登美彦) [四畳半神話大系 (角川文庫)](https://amzn.to/3vk2OwW) 天才が過ぎる。 湯浅政明監督でアニメ化されています。 ### 『流浪の月』(凪良ゆう) [流浪の月 (創元文芸文庫 LA な 1-1)](https://amzn.to/3cjGr4F) 内容も文章表現も好きでした。 シングルファーザーをやってると世間から枠にはめられて見られることがあるので、その感覚を思い出しました。 映画もそろそろ配信開始? ### 『スティルライフ』(池澤夏樹) [スティル・ライフ (中公文庫 い 3-3)](https://amzn.to/3KcX2CM) 理系の純文学。 文章表現と静かなストーリーがすてき。 ### 『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン) [掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集 (講談社文庫)](https://amzn.to/3fASAnv) 海外文学はあまり読まないのですが、川上未映子の推薦と言うことで。 あれこれ破綻していてしんどそうな登場人物たち。 なにになんでこんなに生命力を感じてしまうのでしょう。 ### 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ) [ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮文庫)](https://amzn.to/34ALKZw) 日本で生活しているとなかなか意識しないですよね。 あれこれ考えるノンフィクション。 ### 『生命式』(村田沙耶香) [生命式 (河出文庫)](https://amzn.to/3IGFwHF) 村田沙耶香ワールド。 異常の反対は別の異常、という感じがします。 ### 『自転しながら公転する』(山本文緒) [自転しながら公転する](https://amzn.to/3Nvti5f) この年齢層のあれやこれやが詰め込まれていてしんどい。 ままならない人生。結末もリアル。 ### 『女のいない男たち』(村上春樹) [女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)](https://amzn.to/3Ah1bE0) 濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』を観てから読みました。 映画はこの短編集のいくつかを組み合わせたお話になっています。 村上春樹の短編にしては言いたいことがはっきりしている? ### 『螢・納屋を焼く・その他の短編』(村上春樹) [螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)](https://amzn.to/3vn3aT5) 『螢』は『ノルウェイの森』の原点となる作品だそうです。 村上春樹の短編で季節の移ろいの情景描写ははじめて読んだ気がします。 ### 『あなたの人生の物語』(テッド・チャン) [あなたの人生の物語](https://amzn.to/3ywoGYm) SFを読み慣れていないので、脳汁がどばどば出てました。 言語が思考を作るという概念が好きなので、表題作がお気に入りです。 『メッセージ』というタイトルで映画化されています。 ### 『虐殺器官』(伊藤計劃) [虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)](https://amzn.to/3DlV3uc) 日本SFの分岐点と言われますが、SF素人でも読みやすい。 世界観も文章表現もよいですね。 若干、わかりやすすぎるのかも。 ### 『屍人荘の殺人』(今村昌弘) [屍人荘の殺人 屍人荘の殺人シリーズ (創元推理文庫)](https://amzn.to/3FkjlXE) ミステリー素人でも面白く読めました。 「特殊設定ミステリー」に該当するのかな? ### 『こちらあみ子』(今村夏子) [こちらあみ子 (ちくま文庫)](https://amzn.to/3HRQaKi) 今村夏子ワールドな短編集。 映画化される『こちらあみ子』は読んでいて苦しくなります。 映画『花束みたいな恋をした』にも登場する『ピクニック』も収録されています。 > 「偉くないよ。偉いのかもしれないけど、その人は、今村夏子さんのピクニック読んでも何も感じない人だと思うよ」 > ### 『滅私』(羽田圭介) [滅私](https://amzn.to/3CByIba) ミニマリストの描写があるある過ぎて悪意を感じるレベル。 羽田圭介は「物を捨てるというのは何の努力もせずに自分を変えられる」と言っているので、悪意はあるはず。 ## マンガ おもしろかったマンガを挙げると、社内のインフラエンジニアに「ジャンプばっかり」といちゃもんつけられるので、ジャンプ系は極力外しました。 ### 『違国日記』(ヤマシタトモコ) [違国日記(1) (FEEL COMICS swing)](https://amzn.to/35LEcEr) ことばへのこだわりが好きです。 様々なテーマを丁寧に扱っていて好感が持てます。 ### 『御手洗家、炎上する』(藤沢もやし) [御手洗家、炎上する(1) (Kissコミックス)](https://amzn.to/3SuDQVM) 最後の最後まで気が抜けないホームサスペンス。 8巻完結で誰にでもオススメしやすいマンガです。 ### 『海が走るエンドロール』(たらちねジョン) [海が走るエンドロール 1 (ボニータ・コミックス)](https://amzn.to/3sISo9O) 65歳で映画を撮るために美大に入学。 『ブルーピリオド』とあわせて、主人公がひたすら悶々とする創作系青春マンガ。 ### 『チ。―地球の運動について―』(魚豊) [チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス)](https://amzn.to/2TRvRJo) 完結しましたね。 最後までメッセージが徹底していて、テンポとボリュームもちょうどよいと思います。 ### 『左ききのエレン』(かっぴー、nifuni) [左ききのエレン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)](https://amzn.to/2ZBjLDb) こちらも完結。 「天才になれなかった全ての人へ」 オフィスビル名の募集に大量に応募したのは『左ききのエレン』を読んだからです。 (ジャンプ系だった…) ### 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(浅野いにお) [デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(1) (ビッグコミックススペシャル)](https://amzn.to/3nTyYtR) こちらも完結しました。 最後は、若干消化不良でしょうか。 ### 『AIの遺電子(無印 / READ QUEEN / Blue Age)』(山田胡瓜) [AIの遺電子 1 (少年チャンピオン・コミックス)](https://amzn.to/3dXW1UA) 無印がアニメ化されます。 『READ QUEEN』は毛色が違うのでスキップするのもあり。 元々、テック系メディアのライターさんだったらしく、実際に考えていく必要があるであろう問題が取り上げられています。 ### 『三拍子の娘』(町田メロメ) [三拍子の娘 (1)](https://amzn.to/3zzuYXL) 自由さと不自由さのバランスがよい。 これくらいの自由さで生きていきたい。 ### 『セクシー田中さん』(芦原妃名子) [セクシー田中さん(1) (フラワーコミックスα)](https://amzn.to/3znijGi) 田中さんがつよつよキャラじゃないのがよいですね。 タバコとドラッグとセックスの出てこない『NANA』? ### 『惑星のさみだれ』(水上悟志) [惑星のさみだれ (1) (ヤングキングコミックス)](https://amzn.to/3JU9pD3) だいぶ前にお薦めされて忘れてました。 ファンタジーとSFと日常とセカイ系とコメディと恋愛のバランス感覚が絶妙。 アニメ化されるみたいです。されてる? ## エッセイ 今年は少ないかも。 ### 『私の個人主義』(夏目漱石) [私の個人主義](https://amzn.to/3U9DYdy) エッセイではなく講演内容ですが。 西洋から個人主義が輸入されたころだと思います。 夏目漱石的な解釈。 ### 『私が望むことを私もわからないとき』(チョン・スンファン) [私が望むことを私もわからないとき - 見失った自分を探し出す人生の文章 -](https://amzn.to/3FVAaY6) 穏やかで優しい文章の世界。 本の紹介ではなくて文章の単位で扱っていて、さらに著者の文章もよいです。 ### 『となりの脳世界』(村田沙耶香) [となりの脳世界 (朝日文庫)](https://amzn.to/3q2RDpZ) 西南大学で行われた村田沙耶香の公開講義に潜り込んできました。 学生たちの質問にクレージー沙耶香が異次元の回答をして学生たちをドン引きさせる様子を堪能しました。 ## 詩集 短歌に興味がでて短歌の作り方などの本も読んでました。 ### 『えーえんとくちから』(笹井宏之) [えーえんとくちから (ちくま文庫)](https://amzn.to/3QauKLK) 短歌よくわからん、と思ってたのですがなんだかスッと入ってきました > えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい > > わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております > > 夏らしきものがたんすのひきだしの上から二段目で死んでいる > ## 写真集 写真集を買うのもひさしぶり。 ### 『おとととい』(夏帆、石田真澄) [『おとととい』](https://amzn.to/3M5ez0n) 石田真澄を最初に知ったのは高校生写真家のころだったのですが、今は商業分野でも活躍しているみたいですね。 Instagramでこの写真集の内容を見ることができます。 [【夏帆/写真集『おとととい』official】 (@kaho\_otototoi\_official) • Instagram photos and videos](https://www.instagram.com/kaho_otototoi_official/) ## その他 ### 『未来は決まっており、自分の意思など存在しない。』(妹尾武治) [未来は決まっており、自分の意志など存在しない。~心理学的決定論~ (光文社新書)](https://amzn.to/3y97NSc) 自由意志なんて存在しないんですよ。様々なジャンルから解き明かそうという本。 著者も最初に言っているように、後半は結論ありきでこじつけ感があります。 ### 『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史) [映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)](https://amzn.to/3ycETk1) 映画を早送りで観るのは年齢関係ないそうです。 サンプル集が少ないけれども、納得感はあります。 若者の「失敗したくない」という気持ちの強さに、若者と接する自分も考え方を変えないと。 ### 『〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源』(マーク・チャンギージー) [〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF)](https://amzn.to/3E4CYmk) 大地のリズムとか森の音楽とか、リズムにも音楽にもなっていないのでは? と思っていたので、「音楽は人間の歩行を模倣している」と主張する本書を読んで納得。 ### 『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(中島聡) [なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である](https://amzn.to/3stBewU) 時間に追われすぎていて、あらためて読み返してみました。 エンジニア以外の方にもおすすめ。